いまさら聞けない、特定電子メール法とオプトイン対応に関する法律

特定電子メール法とオプトイン

目次

2月からのGメール、Yahooメールのメールポリシーの大幅見直しに伴い、メールマーケティングについて、送信基準(DMARC対応)も含め、改めて見直す方が増えているようです。

その中で、未だに「オプトイン未対応」でメールを送信していたりするケースも実は結構あります。状況的にはかなりマズい状態ではありますので、念のために「特定電子メール法とオプトイン」について、再確認をしておきましょう。

知らないと、法人では3000万円以下の罰金を科せられる可能性もあります。既に法律の施行から10年以上経っており、「知らなかった」では済まされませんので、しっかりとチェックしておきましょう。

特定電子メール法とオプトイン

特定電子メール法は、正式名称を「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といい、「特定電子メール」の送信について一定の規制を設けています(以下、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」のことを「特定電子メール法」といいます。)。

総務省:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

特定電子メール法が定める「特定電子メール」とは、電子メールの送信をする者が自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メール(メールだけではなく、電話番号を用いて送信する場合(SMS)も含まれます。)を意味します(特定電子メール法第2条第2号)。

一般的に事業者が広告ツールとして使用するメールマガジンは、「特定電子メール」に該当することがほとんどです。また、メールの本文に、広告又は宣伝が含まれていなくても、営業上のサービス・商品に関する情報を広告又は宣伝しようとするWebサイトへ誘導しようとする電子メール(典型的には、商品を広告・宣伝するWebサイトへのURLが記載されている電子メール)も、特定電子メールに該当するとされていますので、注意が必要です。

特定電子メール法に違反した場合

罰則が規定されているのは大きく以下の6つのケースです。

  1. 送信者情報を偽った送信をした場合
    1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。法人の場合だと、偽って送信をした者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金が科されます。
  2. 架空の電子メールアドレス宛に送信した場合
    総務大臣及び、内閣総理大臣によって適正な措置を取るように命じられます。もし命令に従わなかった場合は1年以下の懲役または100万円の罰金。法人の場合は、法人に対して3,000万円以下の罰金が科されます。
  3. 受信を拒否した人に送信した場合
  4. 表示義務に違反した場合
  5. 同意のない人に送信した場合
  6. 同意の記録義務違反
    総務大臣および内閣総理大臣によって、適正な措置を取るように命じられます。命令に従わない場合は100万円以下の罰金、及び法人の場合は、法人に対しても100万円以下の罰金が科されます。

非常に大きな罰金、刑事罰に科せられることがありますので十分に注意が必要です。

特定電子メール法が適用されるメール

特定電子メール法が適用されるのは、基本的に広告や宣伝を目的とした電子メールとなります。
主に以下の2つのパターンがあります。

  1. 広告・宣伝を目的とする電子メール
    営業活動において、製品やサービスを紹介する情報などを内容として記載しているメール
  2. サイトへの誘導を目的とするメール
    営業活動において、製品やサービスなどを紹介するWEBサイトへのリンクを記載し、誘導を図る内容を記載しているメール

これら二つの要素をどちらかでも含んでいるメールは、特定電子メール法が適用され規制の対象となります。
これらの要素が含まれていればSMSも対象となります。当然、自社・他社問わず、海外から送信される広告宣伝メールも対象となります。

特定電子メール法が適用されないメール

料金などの「通知」を目的とし、広告や宣伝の内容を含まず、広告・宣伝を目的としたWEBサイトへの誘導がない電子メールについては、特定電子メール法が適用されません。
つまり、どのような目的のメールであっても
・広告宣伝
・広告宣伝を目的としたWEBサイトへの誘導
が含まれていなければ、適用されません。
そのため営利目的ではない個人や非営利団体からのメールも適用されません。この部分は非常にグレーゾーンといえます。

配信時の留意事項

オプトイン規制

メルマガなどの広告や宣伝を目的としたメールは、事前に受信者側の同意を得ることで送信可能、と規定しています。これを「オプトイン規制」と言います。

オプトイン規制における同意とは、「受信者が広告・宣伝メールの送信を行うことを認識した上で、それについて賛成の意志を表示する」ことを指します。

ECサイトにおけるオプトイン取得方法、インターフェイスについて

過去、この「電子メール」の規制については何度もアップデートされており、以前はOKだったが今はNGという事も沢山ありますので、2024年時点でのオプトイン取得方法をまとめておきます。

  1. オプトインは、ユーザーが同意したことを明確に自覚できる表記を設ける。
    つまり、以前までのように強制的に会員登録させ、「会員登録規約に書いてある」「規約に同意させている」というのはNGです。ショッピングサイトなどでは、楽天やYahooの様に購入の最後にチェックボックスを設けておくというのが一般的なUIでしょう。
  2. オプトアウト方式は違法
    強制的メルマガに登録、あるいは購入ユーザーに対して無断案内メールを送信し、「不要なら配信を停止してね」というオプトアウト方式は完全にNG(違法)ですのでご注意ください。
  3. オプトアウトリンクを設置する
    オプトインしたユーザーに送信するメールに関しても、簡単にオプトアウト可能なリンクを設置する必要があります。
  4. アカウント管理画面にもオプトアウトのUIを設置しておくことが推奨されています。

つまり、これまでのようなメール運用は一切許されないという法律が「特定電子メール法」ですので、頭を切り替えて、ユーザーにとって迷惑にならない内容の有用なメールを心掛け、ユーザーが不要だと思えば直ちに停止できる仕組みをシステム上に持たせる必要がある。という事です。

今後、世界的にもメールやSMS規制は益々厳しくなります。規制を搔い潜ることに頭を回す時代はとうに終わっていますので、過去のメール運用に浸食されている方は、頭を切り替えて、いかにユーザーに有用な製品やサービスを提供して喜んでいただくか?をしっかり考えることにシフトしてゆきましょう。

特定電子メール法とオプトイン
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