ローカルアカウントWindows10からWindows11へのアップグレード手順

長期間の未アップデートOSのリスク
Windows10のサポート終了に伴って、Windows11への駆け込みアップデートが急増しています。
「4年間インターネットに未接続」という状況から、PCをいきなりネットに繋ぐのは、セキュリティ上とても危険ですし、膨大な量のWindows Updateが正常に完了しない可能性も高いです。
その点を踏まえ、可能な限り安全に、そして現在のデータやアプリを保持したまま、ローカルアカウントでWindows 11へアップグレードするための手順を、ステップバイステップで詳しく解説します。
大まかな流れとしては、インストールUSB(Windows11入り)を作成することで、蓄積したWindows10のアップデートをすべてスキップして、事前にセットアップしたインストールUSBからローカルで直接Windows11にアップグレードするので、セキュリティリスクも無く、スピーディなインストールが可能になります。
はじめに:最も重要な注意点
- 絶対に、いきなりネットに繋がないでください。 4年分のセキュリティホールが未修正の状態ですので、ネットに接続した瞬間にウイルスに感染する危険性が極めて高いです。
- 作業の前に、必ずデータのバックアップを取ってください。 アップグレード中に万が一のトラブルが起きても大切なデータを失わないように、外付けHDDなどに重要データはコピーしておきましょう。
- 作業は「オフラインのPC」と「ネット接続できる別のPC」の2台で行います。 これが安全に進めるための鍵となります。(USBが準備できていない場合)
【ステップ1】準備編:安全な別PCで「インストールUSBメモリ」を作る
まず、インターネットに接続できるご家族やご友人のPC、あるいはネットカフェのPCなどを使って、アップグレードに必要な道具を準備します。
準備するもの:
- インターネットに接続できる、安全なPC(アップグレードするPC 以外 )
- 8GB以上の空のUSBメモリ
- 無料ソフト「Rufus(ルーファス)」
- Windows 11の公式ディスクイメージ(ISOファイル)
手順A:必要なファイルのダウンロード
- 安全なPCで、USBメモリを接続します。
- 無料ソフト「 Rufus 」を公式サイトからダウンロード(https://rufus.ie/ja/)します。インストールは不要で、ダウンロードしたファイルを直接実行できます。
- Microsoftの公式サイトにアクセスし、「 Windows 11 ディスク イメージ (ISO) をダウンロード(https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11)する 」の項目から、ISOファイルをダウンロードします。ダウンロードはダウンロードフォルダでOK。USBには直接入れないでください。
手順B:RufusでインストールUSBを作成
ここが最も重要な手順です。このUSBメモリを作ることで、Microsoftアカウントの要求や、古いPCでは満たせないシステム要件を回避できます。
- ダウンロードした
rufus-x.xx.exe
を実行してRufusを起動します。 - デバイス: 差し込んだUSBメモリが選択されていることを確認します。
- ブートの種類の選択: 「選択」ボタンを押し、先ほどダウンロードしたWindows 11のISOファイルを選びます。
- 他の設定は自動で変わるのでそのままで大丈夫です。「 スタート 」ボタンを押します。
- ポップアップ画面が表示されます。ここで重要な設定を行います。
- ✅
Remove requirement for Secure Boot and TPM 2.0
にチェックを入れます。(4年前のPCだと性能要件を満たさない可能性があるため、このチェックで回避します) - ✅
Remove requirement for an online Microsoft account
にチェックを入れます。(これがMicrosoftアカウントでのログインを不要にするための設定です)
- ✅
- 「OK」を押すと、USBメモリのデータが全て消去されるという警告が出ますので、確認してOKを押します。
- プログレスバーが緑色になり「準備完了」と表示されたら、「魔法のUSBメモリ」の完成です。「閉じる」ボタンでRufusを終了し、USBメモリをPCから抜きます。
以上で、Windows11のインストールディスクの作成が完了です。ダウンロードしたRufus, Windows11は削除して結構です。
【ステップ2】バックアップ編:オフラインPCのデータを保護する
アップグレード作業を始める前に、現在お使いのWindows 10 PC(オフライン)の重要なデータを、外付けHDDや別のUSBメモリにコピーして、安全な場所に保管してください。
【ステップ3】実行編:オフラインPCをWindows 11へアップグレード
いよいよアップグレード作業です。この作業中も、PCはインターネットに接続しないでください。
- Windows 10 PCの電源を入れ、完全に起動させます。
- 【ステップ1】で作成した「インストールUSBメモリ」をPCに接続します。
- エクスプローラーを開き、USBメモリの中にある「
setup.exe
」というファイルを見つけて、ダブルクリックで実行します。 - 「Windows 11のインストール」という画面が始まります。画面の指示に従って進みます。
- ライセンス条項に同意し、インストールの準備が進むのを待ちます。
- 「インストールする準備ができました」という画面が表示されたら、内容をよく確認してください。
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」 と表示されていることを必ず確認します。これが、データを保持したままアップグレードする設定です。(もし違う表示になっている場合は、「引き継ぐものを変更」から選択し直してください)
- 「インストール」ボタンを押すと、本格的なアップグレード作業が始まります。
- この間、PCは自動的に何回か再起動します。画面が真っ暗になっても慌てず、完了するまで待ちましょう。
【ステップ4】完了編:アップグレード後の確認とネット接続
- しばらくすると、見慣れたロック画面またはデスクトップ画面が表示されます。これでアップグレードは完了です。
- ファイルやデスクトップのショートカット、インストールしたソフトが以前のまま残っていることを確認してください。アカウントもローカルアカウントのままです。
- すべての確認が終わったら、ここで初めてインターネットに接続します。
- Windows 11は、以前のWindows 10のライセンス情報を引き継いで自動的にライセンス認証を行います。
- ネットに接続後、しばらくするとWindows Updateが自動的に動き出し、最新のセキュリティパッチなどを適用し始めます。これでPCが最新かつ安全な状態になります。
この手順により、4年分のWindows 10の更新プログラムを一つずつ適用する手間とリスクを完全にスキップし、一気に最新で安全なWindows 11環境へ移行できます。